1980年代、90年代のオリンピック陸上を賑わせた2人と言えば、ベン・ジョンソンとカール・ルイスで間違いないですよね。 カナダ、アメリカ出身のこの2人のレースは世界中が注目していて、日本でも現在の30代以降の方はほとんどが知っている名前かと思います。 今回は、陸上を引退したレジェンドの今を調査しました。 |
ベン・ジョンソンとは?カール・ルイスとは?
80年代・90年代の陸上界の大スター、ベンジョンソンとカールルイス。
陸上で禁止されている薬物を使ってしまったというイメージが強いベンジョンソンから、活躍を振り返ってみます。
ベン・ジョンソンの活躍
*画像出典:Naver matome
1961年12月30日生まれ。
ジャマイカで生まれましたが、カナダに移民したためにカナダ人となったベンジョンソン。
ロケットスタートと言われるスタートダッシュを得意とするタイプの選手でした。
初めてのオリンピックはロサンゼルス五輪。
10秒22のタイムで銅メダルになるとカナダのスター選手として注目を集めました。
*ロサンゼルス五輪では4×100mリレーでも銅メダルを獲っています。
その後、1988年のソウル五輪で前人未到の100m9秒79というタイムで金メダルを獲って時の人となるも、ドーピングが発覚。
4年後の1992年バルセロナ五輪でもドーピングが発覚して陸上競技選手として永久追放されてしまいました。
ドーピングが発覚したことに対して本人は「カール・ルイスのスポンサーにハメられて禁止薬物を盛られた」と話していますが、4年に1度しかない世界大会で2度も同じ結果になった事で、「事実であったとしても2度目は注意が足りなかったと言わざるを得ない」と評されています。
しかし、100m9秒79というタイムは幻に終わったものの、「薬物の助けを得たにせよ、人類が到達した最高記録」としてギネスブックには記録されていました。
*現在はウサイン・ボルトの9秒58が史上最速。
バルセロナ五輪の後に陸上界を永久追放されたベンジョンソンは、その後の大会に出場することはなく、表舞台から姿を消してしまいました。
カール・ルイスの活躍
*画像出典:Naver matome
1961年7月1日生まれ。アメリカ出身。
ベンジョンソンと同い年のカールルイスは、陸上選手として若いころから注目されていた選手でした。
初めての世界大会となる1983年の世界陸上(ヘルシンキ大会)では、100m走だけでなく4×100mリレー、走り幅跳びでも金メダルを獲得。
注目されて臨んだ初めての五輪(1994年ロサンゼルス五輪)では、100m、200m、リレー、走り幅跳びで4つの金メダル。
その後もソウル五輪でも金メダルを獲得し(銀メダルだったもののベンジョンソンの金メダルが剥奪されたため繰り上げで金メダルとなる)、バルセロナ五輪、アトランタ五輪でも走り幅跳びで金メダル。
これまでオリンピックで9個の金メダルを獲得している陸上界のスーパースターです。
ベンジョンソンと違って禁止薬物のイメージはありませんが、ソウルオリンピックの選考会では興奮剤に陽性反応が出てしまい、出場が危ぶまれることもありました。
それでも、ベンジョンソンよりもクリーンなイメージが強いのがカールルイス。
100mの自己ベストは1991年に東京の陸上大会で記録した9秒86で、当時は世界記録保持者でしたが、1994年にリロイ・バレルに9秒85という記録で塗り替えられています。
数々の大会で金メダルを獲得したレジェンドも1997年には引退を表明。
引退時の年齢は36歳と、選手としては高齢でしたが、その後はなんと俳優に転身することも発表されました。
カールルイスとベンジョンソンは何故、セットで語られるのか
この2人が同時に語られるには、現役当時の報道の過熱ぶりが関係しています。
特に1988年のソウルオリンピックでは、他にも多くの選手がいる中で、「ジョンソンとルイスはどちらが金メダルをとるのか!?」ということばかり注目されていました。
2人の対決はこのオリンピックまで何年も注目されていた上に、ベンジョンソンがオリンピックという大舞台で世界記録を出したことからも世界の注目を一気に集めました。
カナダでもジョンソンの快挙を大統領まで声明を発表するほど賑わっていましたが、金メダルを獲得したレースの3日後にはベンジョンソンのドーピング疑惑が顕著化。
ドーピングが確定してしまうと、世界中からベンジョンソンは非難の対象になってしまいます。
陸上選手として数々の記録を残してきた二人ですが、30年経った今もなお、悪者と本物として二人は対極のイメージにあります。
では、そんな過去の大スターの現在はどうしているのか。
選手として見なくなってから現在までを調査してみました。
知られざるベン・ジョンソンのその後と現在
1992年のバルセロナ五輪で再びドーピングで陽性反応が出てしまい、陸上競技から永久追放されたベンジョンソン。
日本ではその後はあまり報道されていませんが、1993年にフランスのグルノーブルで陸上大会に出場しています。
50m走での競技で5.65秒という記録で、衰えを感じさせない走りを見せたものの、またもやそこでドーピングが発覚。
オリンピックの陽性反応は「カールルイスのスポンサーが仕掛けた」とか、「謎の男にハメられた」と言っていたものの、さすがに別な大会でも陽性反応が出てしまっては言い訳のしようがなかったでしょう。
結果的に、IAAF(世界陸上)に生涯出場禁止という最も重い処分が下り、アスリートとしてはここで終了。
と、思いきや、1999年にオンタリオ州のキッチナーという地域で陸上大会に出場。その時は既に38歳でしたが、100m11秒00という年齢を感じさせないタイムを記録しました。
ですが、またも薬物検査に引っかかります。
結局、ソウルオリンピック以降、ほとんどの大会で陽性反応がでてしまい、最低なアスリートとして名前を残したまま現役を引退しました。
アスリートとして引退したあとは、なんとサッカーの神様とも言われるマラドーナのトレーナーを務めたり、ベンジョンソン本人の息子が所属するサッカークラブのコーチとして就任するなど、サッカー関係の指導もこなすようになります。
しかし、それも長く続かず、世界中のバラエティー番組に出演したりしながら悠々自適な生活をしています。
2017年にはトレーニングコーチをしているベンジョンソンがYoutubeにアップされていました。
ビリー隊長にソックリですが、ベンジョンソン本人です。
また、意外にも俳優としてのキャリアも少しあって、2006年にはエナジードリンクのCMキャラクターをやっていたり、2017年にもオーストラリアのブックメーカーの広告キャンペーンにも出演。
実は1996年にも日本の映画「アトランタ・ブギ」という作品にも本人役で出演しています。
演技力は特に大きな役柄を演じていませんので、評価はみつけられませんでしたが、悪いイメージと違って、知名度があるためにテレビ出演も多くこなしています。
2000年にはイタリアで少女に1000万イタリアリラ(日本円で約70万円)を盗まれたという報道、2004年には母親であるグロリアさんを亡くした報道、などなど良くない報道もされていましたが、知名度を生かした職業で現在は自由な生活をしているようです。
ベンジョンソンは今は、国籍のあるカナダのオンタリオ州マーカムというトロントから約30㎞の都市に家族と住んでいます。
ニュージャージーデビルズというアメフトチームのコーチもやっているという情報もありますが、コーチ業は本格的ではなく、のんびりと家族で過ごしているようです。
伝説のランナー、カール・ルイスのその後と現在
1997年に現役引退と俳優業に転身することを表明したカールルイス。
実は、現役時代から歌手活動を続けていたこともあり、アーティストとしての才能も注目されていました。
貴重なカールルイスのライブ映像があったので、どうぞ。
ブラックミュージックかと思いきや、結構かっこいい音楽ですね。
さほどヒットはしていないようですが、地元アメリカでは歌手活動もしているスプリンターとして認知されていたほど、音楽には熱がこもっていたようです。
さて、俳優としてのキャリアはどうかというと、ベンジョンソンとは違って、かなりの映画やテレビ番組での出演がありました。
映画や番組の名前を伝えても分かりづらいですが、パーフェクトレンジャーズ、スピードゾーン、エイリアンハンター、マテリアルガールズなど、多くの作品に出演しています。
俳優業は2011年ごろまで積極的に行っていて、その後はなんと政治家を目指します。
2011年に米国ニュージャージー州の上院の民主党員として立候補の届け出を提出。
しかし、同州に4年以上住んだという立候補の要件を満たさずに立候補できませんでした。
政治家を目指すために、このようけんを 満たさなかったことに対して裁判で訴えを起こしたものの、それでも認められずに政治家にはなれませんでした。
その後は、スプリンターのトレーナーやテレビ出演などを行ってきました。
現在は、2018年からカールルイスの出身校であるヒューストン大学でコーチを務めています。
カールルイスは60歳になるというのに、現在の見た目もまだまだ若いですね。
やはりアメリカでも有名人らしく、2019年のトランプ大統領に対する批判的なコメントなども取り上げられています。
現在はテキサス州に住んでいるカールルイスですが、政治的な発言も多いのでもしかしたら政治家への立候補も有り得るかもしれません。
以上、ベンジョンソンとカールルイスの現在でした。
以前は対極的なイメージの2人ですが、二人とも現在は自由に暮らしていて、今後も表舞台での活躍が楽しみですね。