2005年に千葉県の耐震偽装問題で世間を賑わせた姉歯氏。 ヒューザー(破産)の元社長の小嶋氏など色濃いキャラクターも10年以上経った今も記憶に新しいが、その後の姉歯氏の物件や本人の現在を追った。 |
2005年、耐震偽装問題とは
1981年の法改正により、それ以降に建設された建物は全て震度5に耐えうる設計により建設されることになった。
しかし、外見からはその基準をしっかり準拠しているかどうかわからない。
2005年の耐震偽装問題は、元1級建築士の姉歯氏や後に破産することとなる株式会社ヒューザーなどが組織的に偽装を繰り返し建物の建設を繰り返していたという事件。裁判による公判では「元1級建築士の姉歯氏による個人的な犯罪」と結論付けた。
当時世間を震撼させた姉歯物件 pic.twitter.com/XnXrjBidRD
— あきな@わたしは、私。 (@akina1015) November 11, 2019
グランドステージ東向島などのマンションや、ホテルなど多くの物件に渡り耐震偽装が行われており、中には数千万円の分譲マンションを購入した人も多くいて、泣く泣く退去しなくてはならなくなった。
安く建築するために、耐震に必要な工事を抜いていたというのが元凶。マンションの価格はたしかに割安だったようだが、格安というわけではなかったようだ。
現在も解体が進んでいない建物もあるという・・・
姉歯秀次氏について
*画像出典:kabumatome.doorblog.jp
・宮城県大郷町出身。
・1980年 宮城県立古川工業高校卒、大阪に本社を置く中堅ゼネコンに入社。東京支社の施工部門に配属され、主に建設現場の管理を担当。
・1984年 「設計の仕事がしたい」との理由で退社。建築事務所などに勤務。
・1988年 千葉県市川市に事務所を開設。
・1990年 1級建築士登録。
・2005年 耐震強度偽装のため一級建築士免許取消。
・2006年 建築士法違反ほう助容疑で逮捕。2005年に構造計算書偽造問題が発覚し、日本の住宅の安全を揺るがした人物であるにもかかわらず、Wikipediaでは、私人扱いのため該当記事は削除され、構造計算書偽造問題の記事では「A元建築士」と匿名扱いとなっている。
*引用:https://www.akb48matomemory.com
姉歯秀次氏は事件が発覚した後、多くの取材に対して非を認めずバッシングを浴び続けてしまう。
当初は建築会社やコンサル会社との共同での犯行と思われたが、姉歯秀次氏だけの判断で偽装を繰り返したとして懲役5年、罰金180万円の実刑判決を言い渡された。(執行猶予なし)
関係ないが、カツラを装着していることでもネットで話題となった。
建築会社ヒューザーについて
1982年に恒和不動産株式会社として設立。改称を繰り返し、2001年には株式会社ヒューザーとなる。
社員数は27名、売上高は耐震偽装問題の前の2004年で127億円。中堅の建設会社。もちろん非上場。
社長は小嶋進氏。
【株式会社ヒューザーの元社長・小嶋進氏の現在】
耐震偽造問題で、姉歯氏による設計で建設を繰り返し、マスコミやメディアに猛烈にバッシングされる。
また、裁判ではむしろ被害者であるという判決に至ったのだが、自身を「おじゃまもん」と、当時ホリエモンがブームだったためにそれに準えた呼称でインタビューに答えたりし、世間的には悪者扱いされたままだ。
最終的な判決は被害者であるにも関わらず、裁判の途中では有罪判決までくだり、獄中にしばらくいた。(執行猶予付きの実刑判決)
現在は報道機関や耐震偽装問題の関係者などに多くの名誉棄損などの訴えを起こしており、今も戦い続けている。*耐震偽装の指示は部下によるもので、小嶋氏によるものではないことから。
現在、小嶋氏は小さな不動産会社の取締役として頑張っているようだ。
孫に生きざまで失敗したところを見せてしまったことを後悔し、誇れる死にざまを模索しながら今も前に進もうとする。
ヒューザーは2005年に事実上の営業停止状態に追い込まれた。その頃は会社の保留額は28億円。潤沢に資金がありながらもさすがに営業を再開することはなく、2006年に破産手続きを開始し、2011年には破産手続きが終結。
耐震偽装問題のその後
この問題は国会にまで持ち込まれてしまう。
ヒューザーの小嶋社長、イーホームズ(小嶋氏が訴えを起す相手)の社長、木村建設の社長などが参考人として招致され、証人喚問が行われた。
1回目、2回目も姉歯氏は欠席したが、国交委において証人喚問され、木村建設に偽装を指示されたと説明。木村建設の元東京支店長は否定した。
結局は裁判で、最終的に姉歯氏ひとりによる偽装と決定。
姉歯氏は懲役5年などの実刑判決となる。
2006年には姉歯氏の妻が自殺するという悲劇まで生まれてしまった。
なお、姉歯氏以外にも偽装を繰り返していた建築士がいたとして、メディアではしばらくこの話題が尽きなかった。
姉歯氏の物件の現在について
2011年の東日本大震災。
姉歯氏の設計した建物が多く存在する東京都内・千葉県内もかなりの揺れを記録した。
耐震偽装問題では「震度5以上の地震が来れば確実に崩壊する」とマスコミはこぞって報道していたが、東日本大震災による建物の崩壊はほとんどなかった。
姉歯氏は事件当時、このように語っている。
「耐震に関してはかなりの強度を保っておりますし、震度7や8にも十分耐えられるはずです」
実際、震度8というのは存在しないが、これが実証された形だ。
ただし、補強工事を施していた物件は10件前後あり、全てはそうとは言えない。
国の定めたルールを守らなかったのかもしれないが、姉歯氏は確実に建築士としては優秀だったということとなる。
一番問題なのは、姉歯氏の妻が連日の報道に耐えれず、精神的に病んでしまい自殺してしまったほどなのに、マスコミは姉歯氏を叩くだけ叩いて、実際の姉歯氏の建築物がまともであったことを報道していないことだろう。(ただし、もともと姉歯氏の妻は精神病を患っていたようだが。)
ちなみに、先述のとおり姉歯氏の耐震偽造の物件は解体が命じられているが、現在も解体が進んでいない物件がほとんどらしい。
そもそも解体にはかなりの金額を要するため、今後もめどが立っていないそうだ。
現在の姉歯氏
→懲役5年、罰金180万円の実刑判決(2006年12月26日、東京地裁)判決を不服として東京高裁に控訴した。
二審も地裁の判決を支持、2008年2月21日に最高裁が上告を棄却、判決が確定した。
*引用:wikipedia
その後の姉歯氏の動向はネット上ではひとつもみつからなかった。
建築士の資格も失効してしまったため、建築士ではないことは確実。
現在は人目を避けるようにどこかで暮らしているに違いない。
ただ、奥さんは他界してしまったが、子供がいるとのことで珍しい苗字だけにここまで世間から注目を浴びてしまったのだから、生活しづらいことは間違いない。
悪いことをしてしまったのは裁判で確定してしまったから何とも言えないが、どう見ても悪いことをするような人には見えないので東京や千葉を離れて暮らしているだろう。
ネット上の噂によると苗字を変えている可能性が高いとのこと。
一方で、本人の物件かどうかは不明だが、東京都板橋区にこのような物件があった。
この名前はあの事件(2005年!)の時にはすでに付いていたのか? 建物は古いがプレートは新しい。もし最近付けられたのなら、もう風化したってことか。#姉歯物件 pic.twitter.com/T4whaDaN1F
— 伯爵 (@namiekazforever) June 4, 2019
たしかにプレートが新しいところからすると、現在はアパート経営をしていることが伺える。
こちらの物件情報をみてみると、1Kで風呂トイレ別の部屋がいくつかある。
1980年4月に建った建物らしく、当時の姉歯氏は中堅ゼネコンに所属する社会人2年目の社員だったので、姉歯氏本人が建てたものではなさそうだ。
おそらくこちらは、他人の物件。
本人であれば物件名を変更することも検討するはずなので、他人(または親戚?)の物件だろう。
とにかく、お勤めを終えて多くの社会的制裁も受けたので、今後は穏やかに生活することを祈る。
最後に。
姉歯氏の物件で倒壊したり半壊するなど、実際に人的な被害が出たケースはなかった。
言うなれば自身の妻が他界したことくらいで、被害者はマンションを購入した人たちだと思われている。
一方で、投資目的でマンションを購入した人の中には、建設会社が全額補償するケースもあり、実際にプラスになった人も多く存在することが分かっている。