メジャーリーグという強打者・好投手が揃った中でシーズン70本塁打(当時のメジャー記録)という偉業を成し遂げたマーク・マグワイア。サミー・ソーサとの熱烈なホームラン競争も今や昔の話です。 そんな大物打者も引退して長い年月が経っていますが、かつて世界一と呼ばれた強打者の現在を追ってみました。 |
マーク・マグワイアとは
*画像出典:ミドルエッジ
カリフォルニア州ポモナ出身のアメリカ人。
1963年生まれで、南カリフォルニア大学を卒業したのちにオークランド・アスレチックスに入団した歴史的な野球選手です。
Mark McGwire(マーク・マグワイア)という名前は1998年、日本でも凄く有名になりました。
というのも、史上初、メジャーリーグでシーズン70本塁打を記録したから。
マグワイアが70本塁打を記録するまでは、1961年、マグワイアが生まれる前にロジャー・マリスが記録した61本塁打が最高記録でした。
*ちなみに、その1961年にマリスは野球の神様ベーブ・ルースが34年間記録していた60本塁打を破る快挙を成し遂げています。
マグワイアがシーズン本塁打記録を成し遂げた3年後、バリー・ボンズがシーズン73本塁打を記録するまでメジャーリーグの大記録として残っていました。
バッティングセンスはベーブ・ルースのようなタイプで、すくい上げてスイングする特徴がありました。(マグワイアもベーブ・ルースも元ピッチャーというのも同じ。)
マグワイアはドラフト1位で入団していますが、入団当時は全盛期ほどの体型ではありませんでした。
それでも、当初から怪力でミートセンスも高く、入団2年目に1軍(メジャー)で出場すると、3年目となる1987年にはシーズン49本で本塁打王に輝き新人王に選ばれています。
所属していたチームはアスレチックスから1997年のシーズン途中にカージナルスに。
引退するまでカージナルスに在籍することになり、引退したシーズンも100試合に満たない出場数ながら、29本の本塁打を放つなど、惜しまれながらの引退となりました。
(マグワイアが引退した2001年にバリー・ボンズがシーズン73本塁打の記録を打ち立てています)
結果的に17年のメジャーリーグでの成績は583本塁打、打率2割6分3厘、1414打点という驚くべき成績。(最初の1年は出場できなかったので実際は16年間での成績)
メジャー史上に現在も残る記録はひとつもありませんが、シーズンの記録はホームラン王4回、敬遠数や打点、出塁率などでもシーズンで1位に輝いています。
【その他のマグワイアのエピソード】
・弟のダン・マグワイアはアメフトの選手として活躍している
・伝説的なピッチャーであるランディ・ジョンソンとは南カリフォルニア大学時代のチームメイトである
・高卒ではドラフト8位で指名されるも、大学に進学。大学時代にピッチャーから野手に転向している
・大学時代のピッチャーでの成績は2年生の頃はランディ・ジョンソンよりも防御率は優秀だった
・ロサンゼルスオリンピックではアメリカ代表に選ばれ、4番を任されていた
・サミー・ソーサと本塁打王争いをしていた1998年、開幕戦では満塁ホームランを記録して4試合連続で本塁打。ソーサに追いつかれそうになりながらも、最後の3試合で5本塁打を記録し70本の王台に乗せた
などなど、化け物級の活躍や信じられない成績を残し続けていました。
引退後のマグワイア
2001年、まだまだ活躍できる実力を持ちながらも引退したマグワイアですが、引退後は特に目立った活動は行っていませんでした。
しかし、2005年、メジャーリーグを揺るがした「ドーピング問題」で再び脚光を浴びることになります。
マグワイアはもともと体格に恵まれていましたが、ドーピング疑惑は現役の頃から付きまとっていました。
というのも、もともとゴツいのに、年々筋肉が増えていき、腕周りも51㎝もあると言われていました。
筋肉増強剤を使っていたと思われていたんです。
そして、2005年にそれを裏付ける資料の元、米議会で証人喚問されます。
嘘をつくと偽証罪になりますが、マグワイアは「お答えできない」と表現。
暗にドーピングを認めました。
2010年に野球界に復帰
ドーピング問題も鎮まった2010年、遂にマグワイアがメジャーの舞台に戻ってきました。
引退するときに在籍していたカージナルスに、約9年の時を経て打撃コーチとして選手を指揮するようになります。
このマグワイアのコーチ就任はメディアもこぞって報道しましたが、当然のようにドーピング問題も尋ねられて「私は間違ったことをした。一生罪を背負っていきていく」と述べています。
筋肉増強剤(ステロイド)の使用を堂々と認めましたが、記録を伸ばす目的ではなかったとも語りました。
そもそも、ステロイドを使う前からマグワイアの成績はメジャーを代表するレベルにありました。
マグワイアが打撃コーチに就任した2年目の2011年は、カージナルスはワールドシリーズに進出。
テキサス・レンジャーズを4勝3敗で下し、ワールドチャンピオンに輝いています。
2013年~2015年はドジャース
カージナルスで打撃コーチとして実績を残したマグワイアですが、2013年にはドジャースから打撃コーチのオファーがありました。
2014年にはドジャースのチーム打率をナ・リーグ全体の2位にするなどコーチとしての手腕を発揮。
3シーズンドジャースで仕事をすると、今度はサンディエゴ・パドレスに行きます。
2016年から2018年までパドレスのベンチコーチ
マグワイアは、2016年からパドレスのベンチコーチとして監督を支えていました。
MLBのベンチコーチとは、日本プロ野球でいうところの「ヘッドコーチ」に近い存在で、総合的なコーチとしてチームの作戦担当をする感じですね。
マグワイアは現役時代は一塁手(ファースト)でしたけど、もともとピッチャーですから打撃コーチはもちろん、投球術などに関しても長けているため、ベンチコーチという役職はピッタリ。
ベンチコーチは2018年まで務めて、その後は米国のメディアにも登場していないため、ご隠居生活をしていると思われます。
SNSなどでの情報発信もなく、ステロイドの使用を認めたことで評価が落ちていったということがわかりますね。
残念ですが、違反して注目を浴びたツケが回ってきたので自業自得でしょう。
それでも野球で稼いだ数十億円という大金があるため、お金には困らず悠々自適な生活を送っているのかと思われます。
息子のメイソン・マグワイアがメジャーリーガーに!?
*画像出典:https://www.milb.com/
2022年7月に、ドラフト会議で、シカゴ・カブスによってアマチュアドラフト8巡目で選出されたことが米国のニュースで取り上げられていました。
高卒8巡目ということですが、これはかなり凄いことです。
実は、マグワイア自身も高卒8巡目でエクスポズから一塁手兼右ピッチャーとして選出されていました。
マグワイアは南カリフォルニアの大学に通う選択をして、大学で大活躍した後に、オークランドから全体の10位でドラフトで選出されていた過去があります。
息子のメイソンが同じように大学を選ぶのか、プロを選ぶのかはまだ分かっていませんが、実はもう一人の息子である兄のマックス・マグワイアは、オクラホマ大学で野球をしているので、大学に進む可能性が高そうです。
それでも、高卒8巡目は凄いことですので、実績を積んでメジャーの選手になるのか、そのままメジャーの選手になるのか、、どちらにしても、野球選手となることは間違いないでしょう。
ただし、メイソン・マグワイアの2023年シーズンは1勝6敗で防御率9.42と酷い数字。
2024年は少しはマシになりましたが、今後は飛躍して欲しいものです。
ちなみに、アメリカではプロ選手の息子がプロになることは珍しいことではなく、2世、3世も多くが活躍しています。
以上、マグワイアの現在でした。
過去のあやまちを認め、現在はコーチとして実績を積んでいるマグワイア。
飛行機嫌いだそうですが、日本のプロ野球にも注目してもらって、今後も各国野球全体の人気を支えていって欲しいですね。